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アフタヌーン・ティー




「ヴィルヘルム」



ペンが紙の上を滑る音だけが響く書斎に、その名を呼ぶ声は異様に大きく響いた。

午後のこの時間、毎日決まって現れる極卒にうんざりしながら、ヴィルヘルムは書類と睨みあったまま、適当に返事を返す。



「何か用か極卒、今忙しいので後にしてくれ」

「そうですか、それは残念ですね。忙しい貴方の為に、と紅茶をご用意しましたのに……」



紅茶、という言葉にペンを動かす手が止まる。

最近は仕事の量が増えていて早朝から忙しく、紅茶を用意する時間もなかった為に、休憩の時間を恋しく思っていた所だった。

仕事はまだ残っている。だが量はそこまで多くは無い。

少しくらい、休憩に時間を割いても、間に合うだろうか。

休憩と紅茶の誘惑に、心は揺らぎつつあった。



「僕は今日この日のために必死で紅茶を勉強したんですよ……ゴールデンルールとか訳のわからない横文字を理解して、自分が納得いくまで紅茶を入れて兄様が犠牲になって……」



極卒は目線を下に向け、哀しげな声で言う。



「最近のヴィルは忙しそうだから、せめて僕は紅茶を入れてあげようと……なのにヴィルはそんな僕の優しさを冷たく払いのけるのですね……」



忙しい合間に邪魔が入ると作業能率が下がる。だから、特に用も無く毎日訪ねてくる極卒がうっとうしくて、つい冷たくあしらっていたのだが。

そう言われてしまうと、邪魔している極卒が悪いはずなのに、自分が悪い事をしているかのような気にさせられてしまう。



「……極卒、」



ヴィルヘルムが名を呼ぶと、極卒はまだ何も言ってないのに目を輝かせた。



「僕の紅茶を飲んでいただけるのですか!?」

「……仕方ないな」



そう言ってヴィルヘルムはペンを置き、紅茶を飲むために場所を移した。

お気に入りは庭園の一角にあるテラスだが、今この季節には多少肌寒い。

書斎から近く、広さ的にも丁度いい客間を使うことにした。

座り心地がふんわりとした一人掛けのソファに腰掛けて、お湯を沸かしにいった極卒を待つ。

ソファに包まれるように身体をあずけると、仕事の疲れからついため息が零れた。

書斎と違って、しん、と冷えたこの客間を暖めようと、近くの暖炉に魔術で火をおこすと、それが合図のように極卒がティーセットを抱えて戻ってくる。



「今入れますから、見ていてくださいね」



そういって極卒はティーセットをソファの前のテーブルに置くと、幾分か慣れた手つきで、ティーポットから白いティーカップに紅茶を注いだ。

白い湯気と共に、甘い香りが漂う。

茶菓子もついていたなら、と思うが、わがままは言える立場じゃない。

目の前に差し出された紅茶をありがたく受け取り、砂糖を混ぜて、一口飲んでみて。

甘い香りと共に、暖かく、甘い味が口に広がる。



「どうですか?」

「……悪くない」

「いや、味じゃなくてですね」

「何の事だ?」



そう問うと、極卒は口を濁らせて答えようとはしない。

何か、悪い予感がした。

これ以上飲んでしまうと取り返しがつかなくなる気がして、慌てて紅茶を置く。



「いや、ほら、気分が優れてくるのでは、と……」

「……何かしたのか」

「ええと、あの、身体がぽかぽかしてきませんか?」



言われてみれば、暖かくなってきた部屋で、暖かい物を飲んだせいか、身体が温まっている気がする。

いや、温まると言うより、火照っている、が正しいかもしれない。



「ヴィルヘルム」



何故かその声が身体の奥にまで響いて、心臓が跳ねる。

名を呼ばれただけなのに心臓は高鳴って、恥ずかしさに極卒の顔がまともに見られなかった。



「……やはり、何か入っていたのか」

「ええ、僕の悪戯心がつい」



極卒はそう言って、ヴィルヘルムの手にそっと触れてきた。

触られただけなのに、その部分が熱い。

そして、その熱を求めて身体が疼く。

だが、もっと触れて欲しいと、望んでいる自分がいた。

だから、極卒の顔が近づいていても、拒否する事を迷ってしまって。

そのまま、自然に唇を受け入れていた。



「ん……」



唇が触れただけなのに、身体の奥の熱が増した。

角度を変えて求められる度に鼓動がうるさく脈打って、相手の耳にも届いているのかと思い、不安になる。だが、そう思うと余計に心臓の音は増して。

ちゅ、と音を立てられてしまえば、恥ずかしさに顔が燃えるように熱い。

軽く触れるだけのキスが、もどかしかった。

唇がゆっくり離れると、極卒は意地悪く微笑んで、ヴィルヘルムを見つめている。



「……物欲しそうな顔。そんな表情されると、意地悪したくなるじゃないですか」

「っ、お前がそうさせたんだろう……」

「めずらしく素直なのですね。このまま抵抗しなかったら、奪いますよ?」

「……好きにしろ」



鼓動は高鳴り続け、熱は増していくばかりだった。

ゆっくりと触れてくる極卒の手がもどかしい。だが、触れられた部分は確かにじん、と熱をもって疼く。

火照った身体が冷たい空気にさらされていっても、それもまた違った刺激にしかならない。

首筋に口付けられながら、白い肌が露出されていく。

触れられれば触れられるだけ、甘ったるい吐息が零れた。



「あ……っ」



口付けが胸の飾りの上に降ると、痺れるような快感が走った。

吸われるように口付けられ、舌でも弄られると、嬌声を抑える事ができずに。



「あ、あぁっ……」



さらに極卒の手は腰のあたりを撫で回し始める。

触れるか触れないかの境界線に近づくと快感が身体の奥からじんわりと込み上げてくる。だが愛撫は離れていき、もどかしさに甘いため息が零れる。

それを繰り返されると熱を持つ部分は触れて欲しくてたまらない。

だがそれを口にするのは恥ずかしすぎた。ただ撫でられるだけで、こんなにも感じてしまっているのが悔しかった。



「……いやらしい顔。本当はもっと触れて欲しいくせに」

「っ!違……」

「ここはこんなになってしまっているのに?」



熱を帯びるそれに触れられた瞬間、強い快感が走り、身体がびくんと跳ねた。

その反応を見た極卒はさらにいやらしく指を這わせてくる。

先端から漏れてしまった雫のせいで、愛撫と共に卑猥な水音も響く。

手のひら全体で揉まれてしまえば、身体の奥が一段と強く疼いた。



「や……、ああぁっ……!」

「ここも、我慢しきれないでしょう?」



言いながら極卒は、後孔に、雫で濡れた指を差し入れてきた。

その指の冷たさに、いやらしい後蕾が熱くなっている事に気付いてしまった。

足の付け根に力をこめて指の侵入を拒もうとするが、指は入り口を丹念にほぐしていく。

むず痒い快感がふつふつと込み上げてくる。頑なに拒んでいたはずも、快感によって力を奪われてしまう。



「あっ……ん、あぁ……!」

「ほら、やっぱり悦んでる」



その一言で全身が紅潮した。顔は燃えるように熱く、しかし身体の奥の熱も勢いは止まらない。

いつのまにか指の進入を最奥まで許してしまっていた。

指の腹で肉壁を強く押されたり、かき回すように動かされたりと、極卒はさらに快感をあおっていく。

快感が体中を走る度に、嬌声は高く上がった。

気付けば無意識の内に極卒にしがみ付くように快感をこらえようとしている自分に気付く。

だがそんな事を気にしている余裕はなかった。快感による熱は既に、思考を麻痺させるほどヴィルヘルムを支配していた。



「そろそろ良いでしょう……」



ふと、指が引き抜かれていった。極卒に身体を抱きかかえられて、ソファに背をもたれる格好だったのが、本来腰掛けるはずの位置に背中を預ける形にさせられてしまう。

宙に投げ出された足は極卒の片手に捕らえられていて。そして、恥ずかしい秘部は彼に向かって開いている。

恥ずかしい格好で、それを受け入れる瞬間を待った。



「ひっ…あ、あああっ!」



熱が一気にその身体を貫いていく。

初めは開かれていく痛みがあったのに、何度も突き上げられている内に快感の方が強くなっていって。

最奥を貪られても、それが引き抜かれていっても、どうしようもなく感じてしまった。



「あぁっ!あ、あああっ!」



抜き差しが激しくなると、ぬちゃぬちゃと響く接合音が耳に届く。

繋がっている事を知らしめる淫猥な音は、さらに熱をあおっていった。

快感が、一段と強くなっていくのを感じる。欲望を解き放ちたい衝動が強くなる。



「あっ、あ、あああああっ……!」



達すると同時に意識が飛んだ。

だがすぐに目を覚ますと、優しく頬に口づけてくる極卒がいる。



「気持ちよかった?」



意地悪く微笑む彼が少し憎らしかった。

恥ずかしくて目をそらそうとするが、無理な体勢であるせいか、上手く首が回らない。

身じろきしようと思ったが、その時、まだ腰は繋がったままだということを思い知らされる。



「僕はまだ足りない」



そういってまたゆっくりと突き上げ始めた。

達したばかりのせいで、感じやすくなっている。快感がまたふつふつとこみ上げてきた。



「待っ、て……極卒っ!」

「待てません」

「仕事が、まだ残って……!あっ!」

「大丈夫、僕がちゃんと責任とってあげますから」

「責任を取るという意味が違うだろうが……っ!」

「……だって僕はまだ貴方が欲しいから」



そう言って彼は抜き差しを繰り返す。

再び熱を持ち始めた身体に、わがままな彼に、逃れられない事を知る。



……鼻に届く甘い紅茶の香りがくすぐったい。

すっかり甘くなったこの空間も、何故だか心地いいと感じる自分がいて。



無理矢理にでも彼の腕から逃れようとする自分がいない事に気付いた。

この甘い空間に彼と共に在れば、それでいいと思ってしまう。

そして、彼に身をゆだねた。少しだけ、この時だけ、彼に甘えていたくなった。

自分は『休憩』をしているだけなのだと、言い聞かせて。
















―――――


あとがき


恥ずかしすぎる…!(おま

ヴィルヘルムの「好きにしろ」発言に書いた本人ビックリです←
もういつからそんな大胆に(殴

お、お目汚し申し訳御座いませんでした!








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